地震に強い家はどれ?木造・鉄骨造・RC造の特徴やコストを徹底比較

日本の住宅なら「地震に強い」ことが絶対に外せない条件。
ですが住宅の工法・構造には「木造」以外にも「鉄骨造」や「RC(鉄筋コンクリート)造」などがあり、耐震性だけでなく、設計の自由度やコストなど、それぞれに長所や短所があります。
それぞれの特徴を知り「地震に強い家」を考えてみましょう。

注文住宅を購入するメリット・デメリット、価格相場についてはこちらで紹介しているので参考にしてみてください。
→ 注文住宅とは?相場やメリット・デメリットをわかりやすく解説しま

この記事でわかること

  • 一般住宅では「木造」「鉄骨造」「RC造」構造が一般的
  • 「木造」の耐震性と特徴
  • 「鉄骨造」の耐震性と特徴
  • 「RC造」の耐震性と特徴
  • まとめ…「木造」「鉄骨造」「RC造」、どれを選ぶ?

 

一般住宅では「木造」「鉄骨造」「RC造」構造が一般的

住宅を支える骨組みの部分を住宅用語で「構造」と言います。
この「構造」は、使う建築材料が主に何か、どのように接合されているかなどで決まります。
日本の一般住宅に使われる主な構造は「木造」「鉄骨造」「RC造」の三種類。
それぞれの構造ごとに、特徴があり、耐震性、耐久性、コストなどが変わってきます。
耐震性をどう確保しているのか、さっそく見ていきましょう。
※「構造」について詳しくはこちら→強い家をささえる「構造」、知らなきゃ危ない?!

「木造」住宅の耐震性と特徴…「木造」は着工件数ナンバー1!

日本の新規住宅の工法で見ると、現在最も選ばれている工法が「木造」です。
国土交通省の住宅着工統計によれば、2016年度の一戸建住宅の9割が木造で建てられています。

「木造」とは、主な構造材として木を使う工法です。
一般的な構造形式としては昔からある「在来軸組工法」(ざいらいじくぐみこうほう)と、ツーバイフォー工法などに代表される「枠組壁工法」(わくぐみかべこうほう)の2種類があります。

【在来軸組工法とツーバイフォー工法】木造の工法

在来軸組工法

柱と梁(はり)を組み合わせて構造を支える仕組みです。

【耐震性】
・建物は木の柱と梁の強度で支える。耐震性、耐久性は柱と柱の間に筋交い(すじかい/ブレース)を入れて確保
・他の工法に比べ家自体が軽いので、地盤に負担をかけにくい
【その他の特徴】
・他の工法と比べ建築コスト(材料費、人件費など)が低い
・構造に制約が少なく、開放的な間取りや増改築に対応しやすい
・狭い、変形しているなど土地に制約があっても建てやすい
・木の質感や含まれる成分によってもたらされる安らぎ、環境に負担を掛けないエコロジー性がある
・在来軸組工法は設計自由度が高いぶん、施工技術力が重要。経験と実績のある建築業者を選ぶことが良い家を建てるコツ

枠組壁工法

北米で生まれた工法で、ツーバイフォー工法が有名です。
ツーバイフォー工法では2×4インチ(ツーバイシックス工法は2×6インチ)の枠材でつくった「枠」に、構造用合板を貼り付けて「パネル」を作り、このパネルを組み立てて作ります。
床や壁などの「面」で構造を支える構造です。

【耐震性】
・構成面で力を分散でき、地震や台風に強い
【その他の特徴】
・パネルを組み立てるため在来工法に比べ隙間が少なく、気密性、断熱性で有利
・パネルが耐力壁(家を支えている壊せない壁)になってしまうので間取りやリフォームの際、融通がききにくい

 

木造は最も着工件数が多く、経験の蓄積が技術や材料の発達に繋がっています。
構造材や外内装材の種類が幅広いこと、予算に応じて柔軟に建てられる点も大きなメリットです。
各社の研究や技術進歩によって優れた耐震性を備える新しい工法も登場していますので、「構造」に関する最新情報は、建築前に必ずチェックしておきましょう。

「鉄骨造」の特徴…工業化で工期が早い

鉄骨造とは柱や梁などの主要構造材を鉄や鋼でつくった構造のことです。
使う鋼材の厚みが6mm以上のものが「重量鉄骨」、6mm以下のものが「軽量鉄骨」で、「重量鉄骨」は主にビルなどの大型建築物に、「軽量鉄骨」は住宅に多く用いられます。

【耐震性】
・鉄は木に比べて重いため建物自体が重くなり、地盤改良が必要になる場合がある
・鉄骨を剛接合し、地震に粘って耐える「ラーメン構造」と、比較的大きな荷重でも変形しないが、ある点を超えると強度が低くなる「ブレース(筋交い)構造」がある

【その他の特徴】
・工場で材料が生産、管理されているので現場での工期が比較的短く、品質も安定している
・重たく大きな部材を使うので、面している道路が狭い土地では建築が難しい
・開放的な大空間を作りやすい

鉄骨では強度計算や構造材の生産をその都度行うのは大変なので、鉄骨造の取り扱いは国の認定を取った大手ハウスメーカーがほとんどです。

「RC造」の特徴…丈夫な鉄筋コンクリート(RC)造

引っ張る力に強い鉄筋と、圧縮力に強いコンクリートを一体化させて建物を支えている構造が「RC(鉄筋コンクリート)造」です。
建物には上からかかる圧縮力の他、地震時には建物の変形で圧縮や引っ張りの力がかかりますので、それぞれに強い鉄筋とコンクリートをうまく組み合わせた工法です。

【耐震性】
・耐久性があり、地震、火事に強い
・他の工法に比べ非常に重いので地盤が重要。弱い地盤では地盤改良費が高額になる
【そのほかの特徴】
・音や振動に強い
・現地で鉄筋を組み、コンクリートを流すため工期が比較的長い
・コンセントの位置など細かいことも早めに決める必要がある
・室内の壁もRCのためリフォームの対応が限られる

RC造は、配筋のピッチやコンクリートの配合を変えることで強度を高められ、ビルやマンションなどの大型建築でも多く採用されています。

各構造のメリットとデメリットを比較

各構造にはそれぞれメリット・デメリットがあります。それぞれを理解し比較することで、自分のライフスタイルや防災意識に合った構造を選べるでしょう。
家を建てる時に考えるべき内容はたくさんあります。そのなかでも構造に関しては改築などでは変更できないので、とりわけ慎重に考える必要があるでしょう。

まずはそれぞれの構造について知るのが大切になるので、それぞれのメリット・デメリットを比較してご紹介します。

「木造」のメリット

木造は、日本で昔から使われている構造の1つです。

日本で1番使用されている木造のメリットを紹介していきます。

メリットその1:コストが安い
一般的な木造住宅の場合、鉄骨造やRC造に比べて建築にかかるコストが安く済みますが、木材の種類によっては鉄筋造の建築よりコストが高くなる場合もあります。

メリットその2:地震に強い
日本は地震大国であり、昔から地震による建築物の被害に悩まされていました。鉄骨造の方が地震に強いイメージを持つ方が多いでしょう。しかし、木造住宅は建物自体が軽くなり木はしなりやすいので耐震性が良くなるといわれており、耐震基準でも証明されています。

メリットその3:断熱性が高く、熱伝導率が低い
木は断熱性に優れており夏は涼しく、冬は温かく過ごせるでしょう。
鉄骨造などと比べて壁や柱が多くなるので、窓が小さくなったり、少なくなったりすることで気密性も高くなります。

メリットその4:吸湿性が高いので、多湿な日本に合う
断熱性の他にも吸湿性に優れているので、高温多湿な日本の風土に非常によく合います。湿度が高い梅雨の時期はカビに気をつけたいと考えている方も多いでしょう。木造は吸湿性が高いので結露やカビなども発生しづらくなります。

メリットその5:火災の時に倒壊しづらい
火災発生時には木造の住宅が倒壊しやすいイメージです。しかし、木炭のように燃えた時に炭化するので原型を留めておきやすい性質があり、倒壊しづらいです。そのため、火災現場からの脱出や救助などがしやすくなります。

「木造」のデメリット

メリットの多い木造ですがもちろんデメリットもあります。デメリットを十分に理解したうえで木造を検討しましょう。

デメリットその1:性能や品質にムラが出やすい
全く同じ木というものは存在しないので、どうしても全く同じ質感や木目などは再現できません。また、工法によって仕上がりに差ができてしまう場合もあります。

デメリットその2:シロアリや腐食に対しての対策が必要
湿った木材に発生する害虫であるシロアリの対策をしておかないと被害を受けてしまいます。そのため、鉄骨造と比較するとより慎重な対策を講じる必要があります。シロアリが発生してしまうと、木材を食べて劣化させてしまい壊れやすくなってしまうので、定期的なチェックと防虫処理は必ず行うようにしましょう。

デメリットその3:間取りの制限がある
耐久性を維持するために、他の構造に比べて柱や壁を多くつくる必要があります。例えば、2×4工法と呼ばれる枠組壁工法などは窓や開口部が設置できる場所は限られてきます。
自由な間取りにしたい場合は、木造軸組工法の方がおすすめです。

デメリットその4:遮音性が低い
木材は遮音性が低いので、音に関して気を使う必要があります。戸建ての場合は発生する音にそこまで気にする必要は無い場合が多いでしょう。しかし、外に音が漏れてしまうので、ペットを飼っている方や楽器などを弾く方などは多少の対策を講じておきましょう。

「鉄骨造」のメリット

鉄骨造のメリットを紹介していきます。
木造と比較しながら確認しましょう。

メリットその1:材料の自由度が高いので間取りの選択肢が多い
木造と比べると強度があるので、材料の自由度が高くなりそれに合わせて間取りも自由に選択しやすくなります。鉄骨造にも重量鉄骨や軽量鉄骨といった種類があります。ラーメン構造といわれる重量鉄骨造の方が柱を少なく設計できるので、間取りの自由度は高くなります。

メリットその2:シロアリになどの害虫に強い
シロアリは湿った木を好んで発生することが多いです。鉄骨造の構造は金属なので、金属部分へのシロアリの発生を軽減できます。構造以外の部分で木材を全く使用しない住宅は難しいので、発生をゼロにはできません。鉄骨造もシロアリ検査は必要になりますが、木造と比べると構造部分へのシロアリ被害のリスクは軽減できます。

メリットその3:品質が安定しやすく短納期
木材と違い鉄骨自体を工場などで大量生産するので、材料によるばらつきがなく品質は安定します。
また構造部分の組み立てに関しても、木材と比較すると容易で作業する人の力量に左右されづらいでしょう。

「鉄骨造」のデメリット

鉄骨造にもデメリットはあります。木造とはまた異なるデメリットになるので、必ず確認しておきましょう。

デメリットその:木造に比べるとコストが高い
木造と比較した時に1番大きなデメリットは、コストの高さです。木造の場合は現場で加工ができるので、その分の人件費や輸送費などを抑えられます。そのため、鉄骨に比べてコストが安くなります。しかし、鉄骨の場合重量もあり、なおかつ現場での加工が難しいのでその分コストも増加しやすいでしょう。

デメリットその2:火災の時に倒壊のおそれがある
鉄骨は木造に比べて高温に弱く自重も重いので、火災発生時に建物全体が倒壊しやすいです。木造より燃え移るリスクは低いですが、自宅で火事が起きた場合は安全に避難できる経路を事前に決めておきましょう。

デメリットその3:熱伝導率が高く断熱対策が必要
鉄骨は材料自体の強度が高いので、木造と比べると少ない柱と壁で建築できます。しかし、壁や柱が無いので断熱性が低いです。鉄自体の熱伝導率も高いので、その分住宅の中の温かい空気が外に逃げてしまいます。そのため、十分な断熱対策が重要です。

デメリットその4:重量が重いのでより強固な地盤強化の必要あり
木造と比較すると重量は圧倒的に鉄骨の方が重いので、必要に応じて地盤改良工事などをしなければいけません。その分のコストがかかります。

「RC造」のメリット

施工してくれる建築会社が非常に少ないRC造ですが、さまざまなメリットがあります。
それぞれのメリットを紹介するので、参考にしてください。

メリットその1:遮音性の高さ
RC造はコンクリートを流し込んでつくるので、他の構造に比べて隙間が少なく音が通りにくくなります。
家の中の音も外の音も聞こえづらくなるので、家で楽器を弾いたりペットを飼ったりしている方など騒音を気にしている方にはおすすめです。

メリットその2:耐火性に優れている
コンクリートは長時間炎に晒されても、強度も下がらず燃えにくいです。
耐火構造として認められており、木造や他の構造の建物と比べて火災保険の料金も安くなります。

メリットその3:耐震性、耐久性に優れている
RC造は鉄筋とコンクリートを合わせてつくるものであるので、強度面で合わせた2つの良さを活かせるでしょう。他の構造のように枠をつくるものではないので、建物の重量を面で支えられ耐震性に優れています。

「RC造」のデメリット

RC造にもデメリットがあるので、紹介していきます。

デメリット1:工期が長い
木造の工期の目安は4ヶ月ですがRC造は約6ヶ月なので、木造と比較すると工期が長いです。
建物に重量があるので、RC造では基礎工事が非常に重要です。木造と比べると強固な地盤をつくる必要があるので、地盤が弱い土地だと更に地盤改良工事で費用と時間が必要になります。

デメリット2:建築費(建物本体価格)が高額
木造と比較すると、RC造は建築費(建物本体価格)が非常に高額になります。
おおよそ全国平均で木造の1.5倍の坪単価となっており、地盤改良なども含めると更に費用がかかります。

デメリット3:結露やカビが発生しやすい、吸湿性がない
RC造はコンクリートで隙間を埋めるので、気密性がとても高いです。その気密性の高さが、結露やカビが発生する要因です。木造の持っている吸湿性能がRC造にはないので、湿気が溜まってしまいます。

デメリット4:増改築が難しい
木造の軸組工法と比較すると、RC造の建物は増改築を簡単にできません。
計画の段階で増改築の必要がない建築プランで建てる必要があるので、より入念に考える必要があります。

「木造」「鉄骨造」「RC造」のコスト比較

構造木造と鉄骨造とRC造でのコストの比較は
RC造≧鉄骨造>木造となり、木造が1番コストがかかりません。

きちんと施工されている建築会社であればどの構造でも今の建築基準上色々なリスクを回避できますが、コストに関してはもちろん安く済んだ方が良いでしょう。

高くても施工がいい加減だと将来後悔する可能性もあるので、金額だけでなくどこに依頼するかも十分に調べるのが大切です。

最終的に建築する際のコストだけでなく、その後のメンテナンス費用や火災保険、光熱費などライフサイクルコストも含めて長期的に考えるのが、家を建てる上では重要です。

まとめ…「木造」「鉄骨造」「RC造」のどれを選ぶか?

今回ご紹介した特徴をまとめると、以下の図の通りです。

家の構造は、家の間取りや安全性に直結する部分です。
一方で「究極の強さ」を求めた結果、予算度外視ということにもなりません。

堅牢さ、安全性と、現実的な予算の「バランス」を考慮しながら、後からでは取り替えがきかない、家の構造に求めるものをまとめましょう。
また、意外と重要なのが「ハウスメーカーによって扱える構造が違う」ということ。
間取りなどでできること、できないことが決まってしまうので、依頼先を決める前に「木造」「鉄骨造」「RC造」どれにするかを考えておくと理想の家とのズレが少なくなります。

クレバリーホームの家は「木造」で、「在来軸組工法」の設計の自由度と「枠組壁工法」の耐震性を持つ「プレミアム・ハイブリッド構法」という新しい構造です。
地震に強い木造をお考えの方は、ぜひお気軽にご相談くださいね!

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